一茶の徒然なる日々

書こうか、詩を

Hotel Mirage

【題材】 「最終地点」
【テーマ】 「HOTEL CALIFORNIA」のタイトルに合うようなものを・・・
【備考】
【コメント】旅行、旅人、放浪、休息、連想できるものならなんでも




「ようこそ、旅人様」
ホテルに入って最初の一声がそれだった。
「何年振りでしょうかねぇ。この町に旅人が訪れたのは…」
初老のオーナー?が感慨にふけている。
「えっと、泊まりたいんですけど…」
僕はちょっと戸惑って、オーナーにそう告げた。
「あ、そうでした。旅の途中でお疲れでしょう。すぐにお部屋の用意をいたしますね」
オーナーは慌てて宿帳に目を通した。
「旅人様、ラッキーですねぇ。当ホテル一番のお部屋が空いてます」
僕は焦って言う。
「ちょ、ちょっと待ってください。僕はそんなにお金を持っていません」
「大丈夫です。お値段のほうはこのようになっております」
そう言って、何か書かれたボードを取り出した。
―驚いた。
他の町ならそれこそ三流の部屋にあたる値段で泊まれるようだ。
「二泊だとどうなりますか?」
「二泊ですか…。ちょっと待ってくださいね」
オーナーの手が早く動く。
「ええっと、割引も含めましてこちらになります」
計算式が書かれたボードを見せられた。最後の数字が金額らしい。
狐につままれた気分だ。
「ほ、本当にいいんですか!?」
「ええ。たぶん、この町の噂はご存知のはずですが…」
「え、ええ。それなら、知ってますよ。物価がものすごく安いとかで」
「そのとおりです。この町はほとんど全てが共同作業の自給自足において成り立っております」
噂は本当だった。
この大陸のどこかに驚くほど安いホテルがあると聞いていた。
「ですが、旅人割引というのは何なのでしょうか?」
計算式の中に注釈でそういうメモがあった。
「これですか?これは旅でお疲れになった旅人様のための割引です」
「ははぁ〜……」
何度見ても驚く値段だ。
旅人割引で七割も引かれるとは…。
「お部屋にご案内してもよろしいでしょうか?」
「あ、あああ、はい。お願いします」
惑う僕に僕は驚いた。
「そういえば、以前の旅人様もそのような驚き方をしておられました」
フフッと笑うオーナーの後ろについていく。
「さ、こちらです」
案内された部屋は広かった。
たぶん、50畳はあるはずだ。
「ルームキーはこちらになります」
「はい」
「何か御用がお在りましたら、そちらの電話をお使いください」
「はい」
「それでは、ごゆるりと」
スッと下がってオーナーは部屋から出て行った。
未だに僕は驚き戸惑っていた。

「ふぅ、すっきりした」
落ち着きを取り戻すために僕は一先ず風呂に入った。
そこでまた驚いたのは言うまでも無いだろう…。
風呂から上がって少しして、電話が鳴った。
「旅人様、料理の仕度が出来ました」
「はい。今行きます」
そう言って僕は電話を切った。

広い食堂に僕とオーナー。
「あの、他にお客はいないんですか?」
「ええ、なにせこんな場所にありますからね」
淋しそうな顔でオーナーは答えた。
そう、この町は誰も入ってこないような場所にあった。
それをこうして見つけられたのも噂のおかげだ。
だけど、噂といってもお爺ちゃんから聞いた話だったりする。
さっきは噂と聞かれたからそう答えたがお爺ちゃん以外の誰からも聞いたことなどは無かった。
「どうかしましたか?もしかしてお嫌いなものでも入っていたのでしょうか?」
「い、いえ。そんなこと無いです。ちょっと考え事をしていて」
「そうですか、ちょっと心配しました」
「すみません」
「いえいえ、旅人に考え事はつきものですよ」
それからは二人静かに目の前の料理を口に運んだ。
食堂に食器のカチャカチャという音が響く。
全部食べ終えてナプキンで口を拭いた。
「ちょっと待っていてくださいね。食後のお茶を淹れてまいりますので」
そう言ってオーナーは食堂から台所へ繋がっていると思われる扉を通っていった。
―それにしても、僕以外にはお客はいないものなんだな。
 そういえば町で誰も見かけなかったような…。
 たぶん、時間が時間だったからだな。うん。
「お客様?」
「うわぁっ!」
「す、すみません。驚かせてしまって」
「い、いえ。こっちが勝手に驚いただけですから」
「そうですか…。えっと、お茶のほうは珈琲と紅茶のどちらがいいでしょうか?」
「紅茶をお願いします」
「それでは、こちらを」
綺麗な装飾が施されたティーカップが僕の前に置かれた。
「すごい器ですね…」
「ええ、この町の名産品だった物です」
「そうなんですか」
コクンと一口飲んだ。
紅茶特有の香りが鼻に抜ける。
「さっきの料理と同じくらいおいしいです」
「そう言って頂けるとありがたいです」
それっきり、会話は途切れた。
窮屈ではない。むしろ、温かい。そんな静けさが流れた。
最後の一口を飲み終えて、僕は席を立とうとした。それと同時にオーナーが言った。
「差し支えなければ、明日この町を案内させては頂けないでしょうか?」
突然の申し出ではあったが何も知らない町を一人で歩くよりは幾分ましだろうと思い「はい、よろしくお願いします」と言った。
「では明日の朝食後にと言うことで」
「はい」
そう言って、僕は自分の部屋に戻っていった。

大きなベッドに身体を任せる。
食後のせいか心地良い眠気が僕に襲い掛かった。
そのまま僕は眠りに入った。

翌日、食後のお茶を飲み終え、少ししてからオーナーに案内をしてっもらった。
町の名所、町外れの景色、高台からの夕焼け、どれもが素晴らしかった。
……でも、一つだけ大事なものが欠けていた。

「さぁ、日も暮れたことですしホテルに戻って夕食にしましょうか」
オーナーが僕に言った。
「そう、ですね。そう言われてみるとお腹がすきました」
「では戻りましょうね」
街灯が道を明るく照らしている。暗い暗い道を進む。
「…あの、」
僕が言いかける。
「どうかなさいましたか?」
振り返ったオーナーの顔は光のせいでよく見えなかった。
「い、いえ。やっぱりなんでもないです」
「……そうですか」
そして、僕らはホテルに戻った。

夕食後のお茶を飲む。
静かな時間が流れていく。
「あ、あの」
「はい」
オーナーの顔がちょっとぼやけた。
「…どうして、どうして…町の人たちはいないんですか?」
オーナーの顔が一瞬にして淋しくなった。
「なぜ、ですか?」
「この町についてから貴方以外の人を一回も見たことがありません」
「……」
「それに、夜だっていうのにどうして家の明かりが一つも点かないんですか?」
「……」
オーナーはただ淋しそうな顔をしている。
「どうしてなんですか?もしかして、」
続きを言おうとした瞬間、オーナーの人差し指が僕の唇に触れた。
「お願いです。それ以上は言わないでください」
オーナーの顔がいっそう淋しく見えた。
僕は何も言えなくなった…。
『ボーン』時計が鳴った。
「一時ですか…。さ、夜も遅いことですし旅人さん、今日はおやすみになってください」
―おかしい、今まで一度も鳴ることの無かった時計が鳴った?
「こ、答えてください!」
僕はオーナーに詰め寄った。
「明日、お教えします」
それだけ言うとオーナーは何も言わなくなった。
淋しそうな顔をし続けるオーナーに僕は何も言えず自分の部屋へと向かった。

バタンと、ベッドに身を任せた。
分からないことや疑問が頭の中で渦巻いた。
ずっと考えていようと思ったが、気がつけば眠り込んでいた。

翌朝、身体に違和感を感じて目を覚ました。
周りを見回すと僕は草の上に寝ていた。



━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・
遅くなってごめんなさい。(汗
まさか、一週間もかかってしまうとは…。
しかも、なんかお題とずれてるし…。
もう、言い訳しません。どう調理してもかまいませんので…。
まな板の上の鯉状態で対応します。

コメント

ほっ

好きと言ってくれたので、安心しました。
期待しているのと違うのを書いたらどうしようかとビクビクしてました。
どうぞ、受け取ってください。m(_ _)m

お礼ですか……。
では♪『茶』を題材に自由に書いてください。
紅茶や烏龍茶、緑茶、抹茶なんでもOKです。
あ、MCが終わったらでいいですから…。
(ピヨも見てみたいけど(笑)

……返信遅れてごめんなさい。(汗
コメント、ありがとうございました。
また、リクあったらよろしく〜♪

あ…ありがとうございます!!わーむっちゃ嬉しい!!
こういう幻想的なお話、大好きです。
ていうか一茶さんの作品を頂けたことが嬉しい^^
確かに、受け取らせて頂きましたっ♪♪(遅くなりました;)

如何せん今携帯からしか閲覧が出来ない状況なので、
次パソ開いた時に丁重に持ち帰らさせていただきます…ww
あのっ、お礼にと言っちゃなんですが、ウチも何かお書きしますっ。(要らないよ…;)
あ、ご希望があったらもう何でもどうぞっ♪

…MCと被ると今度はピヨりますが…(笑)

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一茶

  • Author:一茶
  • その日の気分でいろいろな方向に記事が発展します。
    現在、『線香花火』なる小説を製作中。
    徐々に上げていきますので楽しみに〜。(^▽^)/~~
    その他、詩らしきもの、格言?、短歌、川柳・俳句も上げます。
    もし、よろしければコメントお願いします。
    コメントが明日の原動力になるので・・・。
    こんな、管理人ですがどうかよろしく。
    m(_ _)m

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