短気
短気と聞いて何を思うだろうか?
たぶん、ほとんどの人が「怒りやすい人のこと」を連想するだろう。
だが、考えてみないか?
一時の欲求に流されて人生台無しにするのは短気じゃないのか?
今、やらなければならないことを面倒だという理由だけでやらないのは短気じゃないのか?
君は短気になってはいまいか?
一時の欲求だけで生きてはいまいか?
たぶん、ほとんどの人が「怒りやすい人のこと」を連想するだろう。
だが、考えてみないか?
一時の欲求に流されて人生台無しにするのは短気じゃないのか?
今、やらなければならないことを面倒だという理由だけでやらないのは短気じゃないのか?
君は短気になってはいまいか?
一時の欲求だけで生きてはいまいか?
守る・護る
自分自身でさえ甘んじている人間に、いったい誰を護れるというのだ。
自分自身でさえ貫き通せないやつが、誰を護れるというのだ。
自分自身を護るばかりの人間が、他の誰を護れるというんだ。
甘んじるな!軽く見るな!軽く使うな!
護るなんて言葉を簡単に使うな!
過信するな!護れるか護れないか悩むくらいなら考えるな!
自分自身でさえ貫き通せないやつが、誰を護れるというのだ。
自分自身を護るばかりの人間が、他の誰を護れるというんだ。
甘んじるな!軽く見るな!軽く使うな!
護るなんて言葉を簡単に使うな!
過信するな!護れるか護れないか悩むくらいなら考えるな!
つまらない物
つまらない物。なんで、そんなもののために。
おかしいんじゃないか。命張るだけの価値があるか。
誰かから一度は言われたことはないか?
自分の信念。自分の宝を見下されたことはないか?
それでも、守れたか?
手を離さなかったりしなかったか?
今でも手の中にあるか?
おかしいんじゃないか。命張るだけの価値があるか。
誰かから一度は言われたことはないか?
自分の信念。自分の宝を見下されたことはないか?
それでも、守れたか?
手を離さなかったりしなかったか?
今でも手の中にあるか?
屈する
屈する。
挫折する。
絶望する。
これをするのは誰だ。これをさせるのは誰だ。
考えてみろ。考えればすぐにわかる。
“自分自身”だということが。
他人を変えるのは難しい。
だからこそ、帰るのならばまず自分。
自分が変わらなければ世界など変わらない。
他力本願?ふざけるな!そんな甘えは捨てちまえ。
挫折する。
絶望する。
これをするのは誰だ。これをさせるのは誰だ。
考えてみろ。考えればすぐにわかる。
“自分自身”だということが。
他人を変えるのは難しい。
だからこそ、帰るのならばまず自分。
自分が変わらなければ世界など変わらない。
他力本願?ふざけるな!そんな甘えは捨てちまえ。
渡り鳥
海を渡って渡り鳥
はるか彼方を眺めし目には
いったい何がうつるんや
ただ、ただ、広い海の上
未だ来ない島を目指し
ただ、ただ、飛び続く
渡り鳥
はるか彼方を眺めし目には
いったい何がうつるんや
ただ、ただ、広い海の上
未だ来ない島を目指し
ただ、ただ、飛び続く
渡り鳥
詩 線香花火 其の一
君がくれた線香花火
僕の手の中で光っていた
僕の前には君がいて
僕と一緒に笑っていた
パッと花が咲く
僕の心は踊りだす
綺麗な言葉より綺麗で
儚い言葉より儚い
今宵の夢は何を見るだろう
線香花火か、君の夢
線香花火に光る
君の笑顔がまぶしかった
夢
夢を見続けれる自信がなければ、夢を見るのをやめ現実を見ろ。
魂
己が魂に嘘をつくな!
毎日
昨日は今日であったはずだ。一昨日も今日であったはずだ。
では、いつ昨日になった?
なったのはいつでもない。ただ過ぎていっただけだ。
時間はずっと繋がっている。
一昨日、昨日、今日、明日、明後日、明々後日。
時間は常に繋がっている。
一瞬、一秒、一分、一時間、一日、一ヶ月、一年、一世紀。
時間は常に過ぎ去るものだ。それと同時に常に来るものだ。
逆らうこともできず逃れることもできず、ただ時間は流れる。
ならば、今日、今やることをなさざるして、いつ成るというのだ。
日々は常に今日であった。
明日も明後日も明々後日も今日であろう。
では、いつ昨日になった?
なったのはいつでもない。ただ過ぎていっただけだ。
時間はずっと繋がっている。
一昨日、昨日、今日、明日、明後日、明々後日。
時間は常に繋がっている。
一瞬、一秒、一分、一時間、一日、一ヶ月、一年、一世紀。
時間は常に過ぎ去るものだ。それと同時に常に来るものだ。
逆らうこともできず逃れることもできず、ただ時間は流れる。
ならば、今日、今やることをなさざるして、いつ成るというのだ。
日々は常に今日であった。
明日も明後日も明々後日も今日であろう。
線香花火 第09話
食後、小夜と山に行くための支度をする。
麦わら帽子、日焼け止め、濡れタオルとタオル、虫除けとかゆみ止め、水筒に麦茶を入れる。これらを入れるためのリュック。
ほとんど固まった場所にあるので準備はすぐに終わる。
居間で小夜と日焼け止めを塗り、玄関で虫除けをスプレーする。
リュックを背負って、
「それじゃ、小夜、行こうか。」
「待って、お兄ちゃん。」
小夜が僕の腕を掴む。
「お兄ちゃん帽子は?」
小夜が麦わらのひさしから僕を睨む。
「い、いや、今日入らないかなって思ってね。」
僕はとっさに答える。
「駄目だよ。太陽照っているよ。帽子がなきゃすぐに倒れちゃうよ。」
小夜は帽子掛けに掛けている僕の麦わらを突きつける。
小夜の怒りと心配が混ざった目で見つめられ、僕はしぶしぶ麦わらを受け取る。
行動
やろうとしている。してみたいと思っている。
ならば、進め。
否定の言葉でその情熱を消し去るな。
ただひたすらに、ただがむしゃらに進め。
ならば、進め。
否定の言葉でその情熱を消し去るな。
ただひたすらに、ただがむしゃらに進め。
傷
身体に付いた傷は消える。
ココロに付いた傷は残る。
いつまでも消えず、いつまでも苦しめる。
苦しみから逃れるすべはなし。
苦しみは抱え込むことしかできない。
苦しみは抱え込むことができる。
知らなければ苦しむ。
知っていれば抱え込める。
ココロに付いた傷は残る。
いつまでも消えず、いつまでも苦しめる。
苦しみから逃れるすべはなし。
苦しみは抱え込むことしかできない。
苦しみは抱え込むことができる。
知らなければ苦しむ。
知っていれば抱え込める。
努力
「俺はここまでこれだけ努力したんだ。」
こんなふうに声を上げる人がいる。
だけど、そんなの全然かっこよくない。
それに、口で言えるほどしか努力して内容に思う。
思うに努力って言うものは、人に語らずただ黙々とただ頑張ることだと思う。
確かに人に努力を誇示したくなるのは分かる。
だけど、そんなの全然かっこよくない。
努力は努力として自分の中に内包していればいい。
努力を声高らかに言うな。言いたいんだったら結果だけを言え。
結果だけでいい。それまでの過程は自分の中に大切にしまっておければいい。
こんなふうに声を上げる人がいる。
だけど、そんなの全然かっこよくない。
それに、口で言えるほどしか努力して内容に思う。
思うに努力って言うものは、人に語らずただ黙々とただ頑張ることだと思う。
確かに人に努力を誇示したくなるのは分かる。
だけど、そんなの全然かっこよくない。
努力は努力として自分の中に内包していればいい。
努力を声高らかに言うな。言いたいんだったら結果だけを言え。
結果だけでいい。それまでの過程は自分の中に大切にしまっておければいい。
線香花火 第08話
「お兄ちゃん、ここ教えて。」
小夜が訊いてくる。僕は手を休め、小夜の指している問題を見る。
・・・分数の割り算だ。僕も結構悩んだことがある。
上下をさかさまにする理由がよく理解できなかった。
「これはね、まず・・・。・・・で、」
一つ一つを丁寧に説明する。
「うん。」「うん。」「うん。」
小夜は僕の説明が一つ終わるたびに頷く。
それを確認しながら説明を続ける。
「・・・うん。そっか、こういうことだったんだね。ありがとう、お兄ちゃん。」
小夜に説明し終え、僕は手を休めていた問題に戻る。
今日は五回ほどあった。
「これで今日の分は終わり。」
小夜が元気よく言う。
「もう終わったんだ、早いね。もう少しでこっちも終わるからちょっと待ってね。」
「うん。」
小夜は頷く。僕は今日の分をサッと終わらせる。
「ふぅ、終わった。小夜、うどんとそうめんと、どっちがいい。」
小夜は少し悩む。そして、「今日はそうめんがいい。」と言った。
「わかった。すぐにできるから待っててね。」
台所へ行きそうめんを出す。
鍋にお湯を張り、火にかける。
お湯を沸騰させている間で、束になっているそうめんの端を糸で結びそうめんが絡まないようにする。そして、沸騰したお湯の中にいれる。茹で上がる間に器を用意して氷を入れておく。
いよいよ茹で上がったら結んでおいた場所を菜箸で掴み取り束のままでまな板にのせる。
結んでいるところを包丁で切り取り、一口でちょうどいい分量で器にのせる。間隔をあけてそうめんどうしがくっつかないようにする。
最後に冷蔵庫から作り起きのめんつゆを出しガラスの器に注ぐ。
「いただきまぁす。」「いただきます。」
今日は山に行くのでいつもよりも早く数分で食べ終わった。
自分と他人
自分と他人の境界って分かるか?
自分は自分だ。他人は他人だ。
確かにそう言えば正しいような気がする。
じゃぁ、自分って何?
自分が分かってこそ他人も分かるんじゃないのか?
自分って何だ?
身体か?脳か?心か?何だ?
自分って何だ?自分ってどういうことだ?
はっきりと言葉で説明できるか?自分はこれだ!って説明できるか?
できなければ考えろ。できるんならば説明してみろ。
簡単に説明なんてできないだろう?
納得いくまで考えてみろ。
『自分って何だ?』
自分は自分だ。他人は他人だ。
確かにそう言えば正しいような気がする。
じゃぁ、自分って何?
自分が分かってこそ他人も分かるんじゃないのか?
自分って何だ?
身体か?脳か?心か?何だ?
自分って何だ?自分ってどういうことだ?
はっきりと言葉で説明できるか?自分はこれだ!って説明できるか?
できなければ考えろ。できるんならば説明してみろ。
簡単に説明なんてできないだろう?
納得いくまで考えてみろ。
『自分って何だ?』
Broken Wings
翼の折れた小鳥
今日も空を見上げている
明日への翼はなく
あるのは唯、絶望のみ
糸の切れた操り人形
ゴミ箱でうずくまる
動くための糸、操る者
それらから見捨てられ
あるのは唯、苦涙のみ
あるのは唯、絶望
あるのは唯、苦涙
明日への願いは尽く
昨日からの記憶
歩き出した小鳥
糸の結ばれた人形
明日を夢見、明日へと行く
あったのはつまらない、絶望、苦涙
昨日へと置く
昨日へと捨て去る
今日も空を見上げている
明日への翼はなく
あるのは唯、絶望のみ
糸の切れた操り人形
ゴミ箱でうずくまる
動くための糸、操る者
それらから見捨てられ
あるのは唯、苦涙のみ
あるのは唯、絶望
あるのは唯、苦涙
明日への願いは尽く
昨日からの記憶
歩き出した小鳥
糸の結ばれた人形
明日を夢見、明日へと行く
あったのはつまらない、絶望、苦涙
昨日へと置く
昨日へと捨て去る
制限
ダメだ、もう無理、できない。
自分で自分を制限してはいないか?
ダメだと思ったら、もう無理だと思ったら、できないと思ったら、
そこから数センチでも数ミリでも数ミクロンでも進んでみないか。
進めないはずがないだろう?
ダメだと、もう無理だと、できないだと、
それはどこを見ていっている?
かなり先を見ていっていまいか?
ダメ、もう無理、できない、と思ったら足元、ほんの数センチ先の地面を見てみないか。
それならば進めるだろう。たった一歩だ。
これまで来たんだ一歩ぐらいなんでもないだろう?
さぁ、進んでみろ足元、数センチ先を見て歩いてみろ。
自分で自分を制限してはいないか?
ダメだと思ったら、もう無理だと思ったら、できないと思ったら、
そこから数センチでも数ミリでも数ミクロンでも進んでみないか。
進めないはずがないだろう?
ダメだと、もう無理だと、できないだと、
それはどこを見ていっている?
かなり先を見ていっていまいか?
ダメ、もう無理、できない、と思ったら足元、ほんの数センチ先の地面を見てみないか。
それならば進めるだろう。たった一歩だ。
これまで来たんだ一歩ぐらいなんでもないだろう?
さぁ、進んでみろ足元、数センチ先を見て歩いてみろ。
血
私の傷から流れる朱
傷からあふれる紅
身体中を朱に支配される
紅、朱、赤、緋
支配され続ける
支配を許し続ける
私は生きている
赤がかよっている
血が流れている
私は生きている
死んでいるのではない
死んでいないのではない
生きている
傷からあふれる紅
身体中を朱に支配される
紅、朱、赤、緋
支配され続ける
支配を許し続ける
私は生きている
赤がかよっている
血が流れている
私は生きている
死んでいるのではない
死んでいないのではない
生きている
いい人
貴方はいい人だろうか。
誰にもいい顔をしてだれからも好かれるいい人であろうか。
だが、考えてみてほしい、訊いてみてほしい。
貴方のことをいい人と言う人に。
自分のことをいい人という言葉以外で表せるのかを。
いい人だけにとどまってはいまいか。それだけで満足してはいないか。
考えてほしい、いい人であることの不幸を。
誰にもいい顔をしてだれからも好かれるいい人であろうか。
だが、考えてみてほしい、訊いてみてほしい。
貴方のことをいい人と言う人に。
自分のことをいい人という言葉以外で表せるのかを。
いい人だけにとどまってはいまいか。それだけで満足してはいないか。
考えてほしい、いい人であることの不幸を。
瞳に映る
この光景
この風景
時に流され
夢に惑わされ
いつしか目には
何も写らず
何も見えず
暗闇の中を
手探りで歩いていた
過去に見た光景
過去に写った風景
それを求めながら
暗闇の中を
さまよい続ける
捕らえられた
時の鎖
振り向き続けた
過去の栄華
たった一つ
もしも、たった一つだけ守るとしたら貴方は何を守りますか?
自分。財産。恋人。家族。
もしも、たった一つだけしか守れないなら貴方は何を捨てますか?
自分。財産。恋人。家族。
もしも、たった一つだけしか守れないなら貴方は何を捨てますか?
別れ道
足元を見れば
別れ道
後ろを見ても
別れ道
いつからだったろうか
別れるのが怖くなったのは
いつからだったろうか
出会うのに億劫になったのは
あれはいつだったろうか
別れ道に気付いたのは
あれはいつだったろうか
別れを繰り返していたのは
出会った以上
別れる
もう二度と会えないかもしれない
もう忘れてしまうかもしれない
もう忘れたかもしれない
もう会えない
別れ道は続く
果てしなく
とても
果てしなく
出会いの数と
出会いの道と
同じ数だけ
同じ道だけ
続き続ける
涙の後に
彼女が言った。
「愛してるって言えなくてごめんね。
怖かった。愛してるのに言ってしまったらそれが消えてしまいそうで。
好きだよ、愛してる。何度も言おうと思った。
けど、胸の中の言葉は外に出したら泡のように消えてしまう。
それを知っていたからいえなかった。
だけど、私は言うよ。泡のように消えても、貴方に届くまで何回も。
何回も、何回も、何回も。貴方にこの気持ちが届くまで。」
彼女が笑う。僕の目を見てこれ以上にないくらいに。
「私は、貴方が好き。愛してる。」
「愛してるって言えなくてごめんね。
怖かった。愛してるのに言ってしまったらそれが消えてしまいそうで。
好きだよ、愛してる。何度も言おうと思った。
けど、胸の中の言葉は外に出したら泡のように消えてしまう。
それを知っていたからいえなかった。
だけど、私は言うよ。泡のように消えても、貴方に届くまで何回も。
何回も、何回も、何回も。貴方にこの気持ちが届くまで。」
彼女が笑う。僕の目を見てこれ以上にないくらいに。
「私は、貴方が好き。愛してる。」
願い
無条件に自分を信じられる自分であれ。
騙す
自分で自分を騙してはいないかい?
線香花火 第07話
翌朝、僕は目が覚めた。
横にはまだ寝ている小夜がいる。
いつもの朝だ。僕が早く起きてご飯の支度をする。
いつものように、僕は背伸びをする。そして、シャワーを浴びてから小夜を起こす。
「朝だよ、小夜。」
ゆっくりと小夜を揺すりって起こす。
「ん〜。おはようお兄ちゃん。」
「おはよう小夜。シャワー浴びておいで。」
と言って小夜にバスタオルと着替えを渡す。
「今日のご飯はなに?」
「トーストにベーコンエッグとサラダだよ。」
「ふふ、おいしそう。じゃ、浴びてくるね。」
そう言って小夜はシャワーを浴びに行く。
小夜がシャワーを浴びている間に僕は朝食の用意をする。
食パンをトースターに入れ、野菜を切ってボウルに入れる。
目玉焼きが半熟になるようにしながら、横でベーコンをギリギリまでカリカリに焼く。目玉焼きを皿に乗せ、その上にベーコンを乗っける。僕はこのベーコンエッグが好きだ。ベーコンとエッグだと前に言われたときがあったけど、こっちのほうが数倍おいしい。
そして、トースターでパンを焼き始める。
この順番でやると小夜がここに来る数分前に準備ができる。
「お兄ちゃん、あがったよ。」小夜がやって来る。
小夜が来てから冷蔵庫の中から牛乳とバター、りんごジャムを出す。
そして、トースターから焼けたパンを出す。
「今日もりんごジャムでいいかな。」僕は小夜に訊く。
「うん、それがいいよ。」
小夜に渡すパンにりんごジャムを塗る。全体に満遍なく塗った後に小夜の皿に乗っける。その後で僕のパンにバターを塗る。
「じゃ、いただきます。」「いただきまぁす。」
小夜はまっさきに卵に手を付ける。
黄身を箸で割り、中から出てきたトロトロの黄身を白身に付けて食べる。
「うん!今日もおいいしいよ、お兄ちゃん。」
小夜は僕に向かって笑って言う。いつもこの笑顔を見る度に、これが天使の微笑みなんだろうなって考える。
「そっか、そう言ってくれると嬉しいよ。」
そうして、僕も朝食に箸をつける。
ベーコンを口に運ぶ。今日はちょっと焼き過ぎたな、と自己反省をする。小夜は僕の作った朝食をどんどん食べていく。
卵の後は、ベーコンを黄身に付けて。トーストを端から。サラダに三日前に小夜が作ったドレッシングをかけて。
新しい料理に口を付けるたびに僕に向かって、
「おいしい」と言う。
「小夜、トマトが残ってるよ。」
すっかり食べてくれた皿にポツンと赤いトマトが乗っている。
「もうお腹いっぱいだよ。」
小夜は僕から目をそらして言う。
「トマトが残っているよ。」再び僕は言う。
「うぅ・・・。」
「残っているよ。」僕は言う。
「もう、お兄ちゃんのケチ。」
そう言うとトマトを口に放り入れた。
「はい、今日はこれ。」
小夜の前にとろけるプリン(大)を出す。
「わー、今日はこれなんだね。」
小夜はこれを見た瞬間、顔が輝いた。
「はい、スプーン。片付けてるから食べ終わったら持ってきてね。」
「あ、ちょっと待って。」
小夜は僕を引き止める。
「はい、お兄ちゃん、これ。」
小夜はスプーンに乗せたプリンを差し出す。
「いいの?」
「うん。」
僕は小夜のスプーンから食べる。
「うん、おいしい。ありがとうね、小夜。」
そう言って僕は食器を片付ける。
と言っても洗うのはいつも夜にまとめてやることにしている。
今は軽く水で洗ってプラスチックの桶の中に沈めておく。
食器三皿を桶に入れて、フライパンを洗う。
フライパンだけはいつも洗っている。
固めのナイロンスポンジで表面を洗い、その後火にかけて乾かす。
一度、これをやり忘れて酷く焦げ付かせたことがあった。
フライパンの手入れが終わったところで小夜がスプーンとカップを持って来た。
僕はそれを受け取り、スプーンは桶に、カップは軽く残っているカラメルを流してからゴミ箱に入れた。
「さて、それじゃ宿題やっちゃおうか。」
「うん、お兄ちゃん、分からないところがあったら教えてね。」
「ああ、分かってるよ。」
線香花火 第06話
「ただいま。」「ただいまぁ。」
そろって声を上げた。
玄関の鍵を閉めて、電気のスイッチを入れる。
寝ていた家を起こす。
両親はいない。二人とも僕らをここに残して海外に出張している。
昔から二人とも留守にすることが多かったため、家事は物心付いたときから母に教わっている。今ではもう慣れた。
そのせいか、小夜を育てたのはほとんど僕だったりもする。
「小夜、留守電に何か入ってる?」
僕は小夜に訊く。僕と小夜は役割を分けている。留守電の確認もそのうちの一つだ。
「お父さんから来てるよ。仕事が長引くからあと一ヶ月は帰ってこれないって。」
「そっか、まだ忙しいんだな。」
確認をし終えた後、いつも小夜は留守電をじっと見る。
僕にはその行為の意味がわかる。そして、分かるがゆえに僕は淋しい気持ちになる。
「小夜、今日はもう遅いから寝るよ。」
僕は小夜に言う。小夜はためらうように「うん。」とだけ言った。
昔造りの平屋のため、僕らはいつも布団を敷いて隣り合って寝ている。開いている部屋はあるがつくりが古いせいか小夜が怖がって一人では寝ようとしない。
横になって小夜が言った。
「お兄ちゃん。」
「なんだい、小夜。」
「今日もお兄ちゃん、手繋いで。」
二人で寝るときはいつもこうしている。わざわざ訊かなくてもいいのに小夜はいつも訊いてくる。
「いいよ。」と言って僕は小夜のほうに手を渡す。
「ふふ、お兄ちゃんの手あったかい。」
小夜の温もりが僕の手を伝う。
ちょっとでも風が吹けば消え落ちてしまう線香花火。それとよく似た。それよりも儚い温もりがそこにはあった。
しばらくして小夜が言った。
「お兄ちゃん、寝ちゃった?」
僕は小夜のほうを向いて言う。
「いや、起きてるよ。」
小夜は天井を見ている。
「夏休み、あと何日かな?」
僕は数える。小夜と過ごした日々を思い出しながら。
「あと十七日ぐらいかな。」
小夜は今までの日々を確かめるように。そして、これからの日々を思うように頷きながら残りの時間を確かめる。
「あと十七日・・・。もう、そんなにたったんだね。」
「ああ、今年の夏は二人っきりだったからね。」
僕は回想する。両親から今年の夏は小夜と二人っきりだと言われたことを。小夜と笑った日々を。小夜をなかせた日を。
僕はこの夏が、これまで生きてきた中で一番の夏になっていることを思う。小夜と一緒に過ごした日々を自分の記憶にとどめる。
「お兄ちゃん、明日は山のほうに行こうね。」
「わかった。朝早く起きて宿題済ませてからね。」
「うん、それじゃおやすみ。」
「おやすみ、小夜。」
僕は小夜が寝静まるまで天井を見ていた。
横から寝息が聞こえてくるのを確認し、僕はゆっくり目を閉じた。
ほのかな温もりを手に感じながら。
本物?偽者?
君は本物かい?偽者かい?
自分は偽者だと言う輩を耳にするが、そんなのはおかしいではないか。
本物があるから偽者―似せ物―があるのだろう?
ならば自分の本物はどこにあるんだ?
自分自身は常に一つだ。二つあって本物か偽者かを考えているわけではない。
さてここで再び問おう。
君は本物かい?偽者―似せ物―かい?
自分は偽者だと言う輩を耳にするが、そんなのはおかしいではないか。
本物があるから偽者―似せ物―があるのだろう?
ならば自分の本物はどこにあるんだ?
自分自身は常に一つだ。二つあって本物か偽者かを考えているわけではない。
さてここで再び問おう。
君は本物かい?偽者―似せ物―かい?
線香花火 第05話
「なんで、線香花火しかやらないの?」
小夜はちょっと悩む。そして、言葉を選びながら答える。
「んー、なんかね、普通の花火はね、シューっとして、すぐに終わっちゃうけど、線香花火は、ゆっくり、パチパチみたいって、なって、いるからかな。」
「そうなんだ。小夜らしいね。」
僕は小夜を見て微笑む。
「それにね・・・」「うん?」
「・・・ううん、やっぱりいいや。」
小夜はよくこんなことを言う。自分の宝石箱の中身を大切に隠すように、出かけた言葉を自分の中に留める。
「それにね、の続きは?」
「ううん、いいの。」
小夜は目を伏せて口を閉ざす。
「なんだよ、教えてよ。」
僕は小夜から答えをほしがる。答えてくれないのは分かっている。
けれども、やはり訊かずにはいられない。
「ふふ、秘密だよ。」
そう言って小夜は僕の腕に体重をかける。
「小夜、重いよ。」
「大丈夫だよ、お兄ちゃんは力持ちだもん。」
僕らは歩く。二人で一緒に。
「お兄ちゃん、また線香花火やろうね。」
「ああ、やろうね。」
今
過去、今、未来。
この中で絶対的なのは何だ?
そうだ、今しかないのだ。
過去も未来も今なしには語ることができない。
考えることができない。
今、そして今。
常に流れる?連続?
どの言葉も当てはまらない今。
その今に私はいる。
考える。悩む。願う。動く。
私は常に今であった。
過去にも未来にもなったことはない。
常に私は今を生きている。
生きることを選んで生きている。
死ねないから生きているんじゃない。
生きることを選択しているから生きている。
私は常に今を行き続けることだろう。
産まれたのも今だ。行き続けるのも今だ。
そして、死ぬのも今だろう。
この中で絶対的なのは何だ?
そうだ、今しかないのだ。
過去も未来も今なしには語ることができない。
考えることができない。
今、そして今。
常に流れる?連続?
どの言葉も当てはまらない今。
その今に私はいる。
考える。悩む。願う。動く。
私は常に今であった。
過去にも未来にもなったことはない。
常に私は今を生きている。
生きることを選んで生きている。
死ねないから生きているんじゃない。
生きることを選択しているから生きている。
私は常に今を行き続けることだろう。
産まれたのも今だ。行き続けるのも今だ。
そして、死ぬのも今だろう。
夢06
こんな夢を見た。
たった一つの黒い点がある。
半径2センチほどの小さい点。
私はそれを凝視する。
じっと見つめ、息を潜める。
周りには人が大勢いる。
みんな黒い点を凝視している。
点は動かない。
人も動かない。
沈黙が漂う。
シーンという擬音よりも・・・がとてもよく似合う沈黙。
ふいに、点が動いた。
最初は上下に。私達の目も上下に。
左右に。左右に。
縦横無尽に。縦横無尽に。
点は数を増やしだした。
無数になった点はなおも縦横無尽に動き続けている。
人々の目は違った点を追う。
見えなくなってバラバラに。
見えなくなってバラバラに。
私は独り、唯一動かない点をじっと見る。
動かない。動かない。
動けない。動けない。
たった一つの黒い点がある。
半径2センチほどの小さい点。
私はそれを凝視する。
じっと見つめ、息を潜める。
周りには人が大勢いる。
みんな黒い点を凝視している。
点は動かない。
人も動かない。
沈黙が漂う。
シーンという擬音よりも・・・がとてもよく似合う沈黙。
ふいに、点が動いた。
最初は上下に。私達の目も上下に。
左右に。左右に。
縦横無尽に。縦横無尽に。
点は数を増やしだした。
無数になった点はなおも縦横無尽に動き続けている。
人々の目は違った点を追う。
見えなくなってバラバラに。
見えなくなってバラバラに。
私は独り、唯一動かない点をじっと見る。
動かない。動かない。
動けない。動けない。
彷徨う者
彷徨う者よ、歩みを止めるな。
目的地が見えなくとも彷徨い続け。
目的地がなくとも求め続けよ。
彷徨う者よ、貴方は何を求む。
彷徨えし者よ、何を願う。
彷徨える者、歩みを止めるな。
歩みを止めれば死するのみ。
歩みを止めるな、彷徨う者。
目的地が見えなくとも彷徨い続け。
目的地がなくとも求め続けよ。
彷徨う者よ、貴方は何を求む。
彷徨えし者よ、何を願う。
彷徨える者、歩みを止めるな。
歩みを止めれば死するのみ。
歩みを止めるな、彷徨う者。
線香花火 第04話
帰り道、小夜は僕の左腕を掴んだまま離さない。
小夜は僕の顔をじっと見つめてくる。
僕がそれに気付き、小夜のほうを見るとあわてて前を見る。
「どうしたんだい、顔に何か付いていたかな。」
歩みを止めて小夜に聞く。
「んーん、なんでもないよ。」
小夜は、はにかんで言う。
「そっか、ならいいけど。」
わかっている。小夜が僕の顔を見る訳を。だけど僕はそれを口にはしない。今の、この状態が愛しいから。
空には白い三日月。無数の星がきらめいている。
街頭に光はない。けど、全然暗くなんてない道を僕達は歩いていく。
しんと静まり返った夜。僕らの足音だけが夜空にこだまする。
僕の腕には小夜の温もり。
「なぁ、小夜。」
僕は小夜に訊く。
「なぁに、お兄ちゃん。」
ゆっくり歩きながら小夜の顔を見る。
「なんで、線香花火しかやらないの?」
家族
不思議なものだ。なぜ私は他人と共同体を作って家族をしているのだろう。
気付けば中に含まれていて両親がいた。
だが、私はこの空間がとても落ち着く。
悲しいこと、つらいことがあれば無条件で迎えてくれる。
私は偶然の中にいる。この不思議を当たり前だと考えていまいか。
気付けば中に含まれていて両親がいた。
だが、私はこの空間がとても落ち着く。
悲しいこと、つらいことがあれば無条件で迎えてくれる。
私は偶然の中にいる。この不思議を当たり前だと考えていまいか。
線香花火 第03話
急に風が吹き、線香花火の玉が落ちた。
「・・・。」
小夜は黙って線香花火の先端を見る。
「風のせいだよ。小夜は悪くない。」
小夜は僕の目を見る。
「ほんと?」
「ああ、風のせいだよ。小夜は悪くないよ。」
小夜はうなずく。
「待ってな、また火を付けるから。」
僕は花火の袋に手を伸ばす。
「あっ・・・。さっきのが最後だったんだ。」
花火の袋の中には線香花火は残っていなかった。
「線香花火、なくなっちゃったの?」
小夜は花火の袋を指さして言う。
「うん、そうだよ。あれが最後の一本だったみたい。どうしよっか?他の花火なら残ってるけど。」
僕は小夜の目を見る。
「ううん、線香花火じゃなきゃ、いや。」
「そっか、じゃぁ今日はこれまでだね。」
僕は立ち上がる。燃えカスの入ったバケツを手に取ると、近くにあるゴミ箱に燃えカスを捨てに行く。
「待って、小夜も行く。」
そう言って、あわてて立ち上がり僕の左腕を掴む。
「おいおい、危ないよ。」
僕はあわててバケツを持ち替える。
「お兄ちゃん。また今度、花火やろうね。」
僕は水を流した後、ゴミ箱に燃えカスを入れる。
そして、ゆっくりと小夜を見て、
「ああ、また一緒に花火やろうな。」と言った。
自分
「自分」と言うものを考える。「自分」ということを考える。
さて、それに答えはあるのか?明確な答えはあるのだろうか。
『「自分」というもの、ことを考える自分』はなんなのだろうか。
自分はあるのだろうか、自分は掴めるのだろうか。
さて、それに答えはあるのか?明確な答えはあるのだろうか。
『「自分」というもの、ことを考える自分』はなんなのだろうか。
自分はあるのだろうか、自分は掴めるのだろうか。
根底
夢を持て、目標を探せ、希望を持て。
散々、言われ続けていた。僕はそれを信じ、ずっと探してばかりいた。
時には自分の中から、時には人の言葉から。
見つけたときはそれに飛びついた。
放さないように、逃がさないように。
僕はあるとき、手に持っていたものが分からなくなった。
これが僕の夢だ!目標だ!希望だ!なんていえなくなった。
僕は僕自身で僕を騙していたんじゃないだろうか?
僕の頭にはそんな疑問が形作っていた。
僕は、目の前にあるそれを素直に掴めなくなった。
自分の、あるいは人の言葉から発生したそれ。
僕は素直につかめない。
頭の中は疑問で埋め尽くされ、パンクしかけている。
僕は素直につかめない。
騙されているんじゃないか?騙しているんじゃないか?
分からない。自分が持とうとしているそれ。
自分で自分を騙しているんじゃないか。
盲目の中で、レンズをつけたままで、サングラスをかけたままで見ていたんじゃないか?
僕は分からない。
騙されていたのか?騙していたのか?
僕は分からない。今の僕には、分からない・・・。
愛
別れを恐れて愛することをやめるんじゃない。
いつも僕らは出会うと同時に別れに向かっているのだから。
いつも僕らは出会うと同時に別れに向かっているのだから。
線香花火 第02話
パチ パチッ パチ パチ パチッ
線香花火が燃える。光が拡散し、やがて落ちる。
「あーあ、落ちちゃった。」
小夜が言う。
「ねぇ、もう一回、もう一回。」
小夜が僕の腕を掴んでねだる。
僕は持っていた線香花火の燃えカスをバケツに入れ、花火の袋から線香花火を取り出した。
そして、そっと小さなロウソクで火をつける。
パチ パチ パチッ パチ
また、線香花火が燃える。
パチ パチチ パチッ パチ パチ
線香花火の花が咲く。
「わぁー。綺麗だね。綺麗だね。」
はしゃいで言った。
「ああ、綺麗だね。」
僕は言う。
線香花火をそっと小夜に手渡した。
「ゆっくり、慎重にね。」
「うん、わかってるよ。」
小夜は慎重に僕の手から線香花火を受け取る。
「あっ・・・。」
急に風が吹き、線香花火の玉が落ちた。
嫌われ者
人から嫌われたくない、悪く思われたくないなんて思うな。
兎に角、在りのままの自分であれ。
嫌われるよりもつらいことを知れ。
それは、嫌われすらしないことだ。
兎に角、在りのままの自分であれ。
嫌われるよりもつらいことを知れ。
それは、嫌われすらしないことだ。
騙す騙される
わたしは、知ってしまったんです。
この世には騙される人間と騙す人間がいるということを。
わたしは、騙される側でした。
それに気付いたとき、世界は色を変えました。
あのころの私がいた世界は華やかだった。
何でも人は信じあえると、手を繋いでいられると思っていた。
だけど私は気付いてしまった。
ワタシハダマサレテイタ。
そして、世界は色を変えました。
常に人を疑って、まったく人を信じない世界に。
色で言うのならマーブル。黒、紫、深緑、深紅。
全てが混ざり合いゆがんだ世界。
私は自分を保つだけで精一杯でした。
そして、私は気付いてしまったんです。
自分ですら自分を騙していたことに。
目標、夢、希望。そんな言葉でほころびを隠して。
私は今、これを綴っています。
遺書です。私が知ったこと、知ってしまったことを書いた。
遺書はここで終わっている・・・。
この世には騙される人間と騙す人間がいるということを。
わたしは、騙される側でした。
それに気付いたとき、世界は色を変えました。
あのころの私がいた世界は華やかだった。
何でも人は信じあえると、手を繋いでいられると思っていた。
だけど私は気付いてしまった。
ワタシハダマサレテイタ。
そして、世界は色を変えました。
常に人を疑って、まったく人を信じない世界に。
色で言うのならマーブル。黒、紫、深緑、深紅。
全てが混ざり合いゆがんだ世界。
私は自分を保つだけで精一杯でした。
そして、私は気付いてしまったんです。
自分ですら自分を騙していたことに。
目標、夢、希望。そんな言葉でほころびを隠して。
私は今、これを綴っています。
遺書です。私が知ったこと、知ってしまったことを書いた。
遺書はここで終わっている・・・。
世界
世界は一つ、真実も一つ。
だが人の数だけ事実はある。
だが人の数だけ事実はある。
